#カルシフィラキシス Calciphylaxis

腎臓内科

透析患者の難治性潰瘍を経験し、カルシフィラキシスについて勉強したのでまとめようと思います。

(NEJM Calciphylaxis reviewより図を転載しています)

【病態】

皮下脂肪組織と真皮の微小血管の閉塞を特徴とする血管石灰化を起こす症候群です。末期腎不全患者を中心にみられ、激しい痛みを伴う虚血性皮膚病変を引き起こします。

病態は依然として不明とされています。石灰化と微小血栓症により皮膚組織の壊死を起こしている、というのが組織学的な評価で示唆されています。

【原因】

典型例では透析患者やeGFR<15ml/min/1.73㎡のような末期腎不全患者に現れるとされています。非透析患者でも見られることがあり、リスク因子としてワーファリンの使用(ビタミンK欠乏)、原発性副甲状腺機能亢進症、高Ca血症、高P血症があります。(CKD-MBDによる異所性石灰化?)

【症状/臨床像】

NEJM reveiwから引用
日本透析医会雑誌Vol.29, No.2 カルシフィラキシスの診断と治療 図1より転載

【検査/診断】

診断は本来であれば皮膚生検が重要ですが、血行不良による治癒遷延から潰瘍の増悪につながるリスクもあります。したがって、病歴から臨床診断されることが多いです。

①慢性腎臓病で透析中、または糸球体濾過率 15 mL/分以下

周囲に有痛性紫斑を伴う皮膚の有痛性難治性潰瘍

③体幹部,上腕,前腕,大腿,下腿,陰茎に発症する,周囲に有痛性紫斑を伴う皮膚の有痛性難治性潰瘍

以上のうち 2 項目と皮膚病理所見を満たす、または臨床症状3項目を満たす場合にカルシフィラキシスと診断されます。

LEADから起きる虚血性潰瘍も鑑別となるため、足背動脈の触診に加えて血管造影やABIでの評価を行います。

【治療/マネジメント】

鎮痛

「ジンジンする」ような耐えられない痛みを訴えられ、急速にADL低下につながります。鎮痛剤反応性も乏しいことも多く、解熱鎮痛剤でのコントロールが不良であればオピオイドやガバペンチンを使用します。それでも鎮痛コントロールが難しいことが多いです。

局所の創処置

壊死組織部位にはゲーベンクリーム、周囲の有痛性発赤部位(活動性の炎症が起きている)では部位に応じて使用できるステロイド外用を行います。

可能な限り連日での(水道水または生食)洗浄+清潔ガーゼでの被覆を行い、感染合併をさせないことが重要です。

③原疾患の治療:CKD-MBDのコントロール、ワーファリンの中止の検討

intactPTH<300を目標とします。

またワーファリンとの関連も示唆されていて、ビタミンK欠乏症もそのリスクと言われています。創部コントロールがつかなければ、ワーファリンの中止を検討します

④チオ硫酸ナトリウム点滴

透析患者であれば、週3回透析後の最後の1時間で30~60分かけてチオ硫酸ナトリウム25gを投与します。副作用として代謝性アシドーシスを認めることがあり、血液ガスでモニタリングを行います。

(自験例がないのですが)保存期CKD患者であれば、チオ硫酸ナトリウム25gを週2回投与から開始。代謝性アシドーシスの合併がないかを採血で確認して、許容されれば週5回まで増量します。

Clinical pearl

・CKD患者の下腿潰瘍でカルシフィラキシスを考えて、しっかり鎮痛!

参考文献)

Calciphylaxis. N Engl J Med. 2018 May 3;378(18):1704-1714. PMID: 29719190. わかりやすいreview論文です。

日本透析医会雑誌Vol.29, No.2 https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/29-2/29-2_252.pdf 日本語で書かれていて、診断基準も載っています。

膠原病診療ノート 第4版/第5版 難治性の潰瘍の処置について紹介されています。

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